赤い糸

elenapanda552010-12-20

日本だと普通赤い糸は
男女の縁を結ぶシンボルだけど

某東南アジアに住んでいた時のこと
バスターミナルのカフェで
お茶していたら

銀のお鉢見たいのを持った
おばあさんが
(この国では未亡人はみんな頭を坊主にするので
たぶんご主人もいないのだろう)
がお客さんの間を縫って
寄付を募っていた

外国に行くと物乞いが
しつこくて辟易してしまうのだけど
(全然生活に困ってなくても「お金ちょうだい」
といってくる人ばかりだから
変に同情するとバカを見るよっ)

このおばあさん
きれいな身なりをして
プラカードを下げて回っていた

現地にいる人から聞くと
お寺を建立するため
寄進してまわっているのだとか

当時あたいは
キリスト教関係の団体の一員で
その国にいたのだけど
(十字架も胸にぶら下げていたのだけど)
グループのリーダー(当然カトリックのひと)
が「いいじゃない、あげなさいよ」
というので
会計係でお財布を持っていたあたいが
細かいおカネを寄進すると

おばあさん
いきなりなんだかお経らしいものを唱え始めた

小乗仏教の国なので
善業をしたあなたに功徳がありますよ
(もっともこのおばあさんも自分の功徳を積むために
お布施を集めているのだろう)
ということなのだろう…と
思っていたら
あたしの右腕をつつき始めた
「えっもっと?」ということなのかと思ったら
あたしの右腕をとって
赤い糸を手首に結んでくれた…

寄進をしてくれる人には
こうして赤い糸を結んでくれるんだって

当時はヤソ信者だったので
苦笑いのあたしであったが

本来ならそんな異教のもらいもの
なんて外しちゃうんだろうけど
そのころいろいろ思うところあって
なかなか外せずにいた

カトリックの残酷なところドロドロしているところ
表面的なところ
バンバン見せつけられちゃったんだよね…

すごい思い詰めて
かといって帰国できる状況じゃないし
このままここで自殺した方が楽になれるかな…
と悩んだ時もあった

でもその後すったもんだあって
あたいはキリスト教やめました…

あの赤い糸は
帰国する数日前
切れてしまったけど
しまいには真っ黒になりちょいと匂ってた…

あの糸が
暗黒の地獄から
あたいを助け出してくれたのかな

できれば運命の人に出会う
赤い糸も欲しかったな