ある風景

バスに乗り込んで
ほっとして
出発まで外を眺めていたら

腰が曲がって
ヨボヨボのおばあさんが
リュックに
両手に大きい紙袋を持ちながら
半分斜めになりながら
歩いてきた

バス停の前のスーパーに
用があったのだろう

ACのCMを見ていたなら
一緒に荷物を持ってあげるべきなのだろうが…

ちよっとためらってしまった
なんでそんな大量の荷物を…？
というぐらいの大荷物

たまの買い出しだと
老体に鞭打って
出かけられたのか…

介護保険が適用されるぐらいの
お年寄りなのだろうが
果たして家族は
あるいは地域支援は…？

社会と切り離されると
受けられるべきサービスも受けられない
使えるはずのサービスも認知されない

こういう方々がきっと
地デジのサービスも何も知らず
周囲から孤立して生きているのだろうか

私も含めて誰も老女には声をかけず
彼女はよろよろとエレベーターの中に消えて行った