探し出せないもの
トルーマン・カポーティの
「クリスマスの思い出」という短編がある
両親と離れておばあさんと暮らす少年が
その思い出を語る
クリスマスに毎年おばあさんが
30個のフルーツケーキを作る話が出てくる
11月になると
少年とおばあさんは
フルーツケーキに入れるための
ペカンの実を取りに
近くの森に行くのだが
もちろんすでに持ち主によって
ほとんど実を取りつくされた森の中を
隅から隅まで
木の根っこから
落ち葉や枝をひっくり返して
林を探し回って実を集める…
運命の相手なんてそんなもんなんだろうな
時期を過ぎるともう収穫するものも
ほとんど採りつくされてしまって
隅をつつくような探し方をしないと見つけられないのだろうな
適齢期と言われるものを逃してしまった私には
今は収穫の秋を過ぎた11月の森を
探しているものなんだろうな