子供の手を取ってあげて
駅ビルで
レジに並んでいた時のこと
ひとりの五歳ぐらいの子が
会計をしてみたかったらしく
並んでいる人々の列を通り越して
キャッシャーに駆け寄っていってしまった
列で並んでいるママ
「ダメよ○×ちゃん並びなさい。みんな並んでいるでしょ」
「戻りなさい。○×ちゃん。ママの言っていること聞こえないの」
「○×ちゃんダメでしょ。みんな待ってるのよ」
と怒鳴って連呼するばかり
興奮してどんどん声がでかくなるので
友人がポツリと
「言うだけじゃダメよね」
やっとママはその子のもとに近付いて手を取って
列に戻したのだが…
列に戻ってからもママの小言はとどまることを知らなかった
「何でみんな並んでいるのがわからないの」
「ママが呼んでいるのがどうして聞こえないの。お耳があるでしょ」
「もう○×ちゃんなんて連れてくるんじゃなかった」
「みんなが○×ちゃんのこと変な目で見てたよ。もぉママ恥ずかしかった」
その子のその子なりにレジ精算をしてみたい…
という思いで
頭がいっぱいだったはずだ
子供は特に一つのことに頭が行くと周りが見えなくなる
「子供の飛び出し注意」と
看板があちこちにあるのは
子供の注意力が
大人に比べて劣るからである
「やめなさい」「ダメでしょ」と子供を「しかる」だけで
「言うことを聞く」子供はまず少ない
遠くで怒鳴るだけでなく
大人が手を取って制止する必要があるのだ
児童福祉施設で働き始めた時
子供の引率をするとき
まず手をつなぐことをさせられた
いくら気をつけて見守っていても
子供は衝動的だから
いつどこでどういう動きをするかわからない
大人が追っかけて行っても
間に合わないことだってある
しかし
手を握っていれば子供はとにかく遠くに行かないのである
最近そういえばお母さんと手をつないでいる子供
少ない気がしませんか?