ガーディナーは善人ならず

あたいがもらって困るもの
それは花束である

悪いのだけど
本当に植物には
興味がない

まあきれいだとは思うけど

ああいうものにお金と時間をかける人の気が知れない

ただ世の中には
うちのおかんも含めて
「人はみんな草花が好きなもの」
という思い込みで
生きている人が多いので
閉口する

世間話のように
職場においてある花や植木の
話題を振られても
どう対応したらいいか…

悪いけど
全然興味ないし。

植物好きには
「自分が好きなものは相手も好きなはず」
というゆがんだ善意の度合いが
特に強烈

以前「家栽の人」という漫画があって
ドラマにもなったが
この作品にある「草花を愛する人はみんないい人」
みたいなステレオタイプ
あたしはむしろ逆だと主張したい

正直周囲から「人でなし」と陰口をたたかれているような人が
毎日手入れした植木を
老人ホームなどに持ってきたりする

お嫁さんをいびり倒している人が
バラ作りの名人と言われていたり

庭に温室を作って
蘭だらけにしている人が
奥さんから逃げられていたり

むしろ人を愛せないから
植物へと向かうような気がしてならない